関地蔵院(三重県、亀山市)
三重県亀山市にある関宿を散策していると、途中で存在感ある大きな建物が見えて来ます。寺号は宝蔵寺で「関の地蔵」「関の地蔵院」と呼ばれ地元で親しまれている大きなお寺。
この関地蔵院は「関の地蔵に振袖着せて、奈良の大仏婿に取ろ」の俗謡で名高い場所。これは741年に東大寺の僧が天然痘と言う病から多くの人を救うため、この地に地蔵菩薩を置いたのがはじまりで、東大寺への親しみから、このような俗謡が生まれたんだとか。
また、ここには一休さんに関する昔話もあって、これがなかなか興味深い話なんですよ。
それは…、昔々の話、村の人がお地蔵さんを清め、開眼供養をしてもうお坊さんを探していたら、偶然一休和尚が通りかかったそうな。
事情を説明すると、一休和尚は快諾し「釈迦はすぎ 弥勒はいまだ出でぬ間の かかるうき世に 目あかしめ地蔵」と妙な歌を詠み、立ち小便して立ち去ってしまった…。
村人はあっけにとられ、我に返ると怒りだし「クソ坊主め」と、別の僧に開眼供養をしてもらう事にした。
次に来た僧は礼儀正しく、難しいお経を長々と読み、いかにも功徳のありそうな感じで村人も感謝感激。ところが、その夜に村人の一人が熱を出し、うわごとを言い出した。それが…
「せっかく名僧の供養によって目を開いたのに、どうしてつまらぬ供養のやり直しなどしたのか。元のようにして返せ」と。
村人は大慌てで一休和尚を探し事情を説明すると、「引き返す事は出来ないけど、下帯を持ち帰って地蔵さんの首にかけ、わたしが唱えた歌を3回唱えなさい」と伝え、その通りにすると熱を出した村人は嘘のように元気な姿に戻ったと言う。
だから今も関の地蔵さんは麻の布きれを首に巻いているんだとか!!ってな話だそうです。
一休和尚がスゴイのは分かるけど、しかし立ち小便して去ったって、そりゃ~普通は怒りますよね。どうも不思議な話に感じたりもします。他にも深い意味があるのかも…。
ところで!!本堂の横ら辺を歩いていると不思議な電柱を発見しました。
逆さま?しかも先っぽんは色を塗って鉛筆みたいにしている…
これって珍百景?しかし何で逆さなんでしょうね。ちょうど地元のお婆ちゃんが通りかかったので聞いてみると、もう50年か60年ほど前から、こんな状態らしい。
その理由を聞くと「たぶん…な、夜に車が壁にぶつかった事があって、電柱には反射板があるやろ。使ってない電柱抜いて、目印の為にソコに埋めたんちゃうかったかな~」とのこと。
な…なるほど!意外な理由に納得しつつも、この大胆な解決方法に時代を感じる。でも、色鉛筆っぽく塗ってるのは、ちょっと可愛いね。
最後に、関の地蔵院ですが「奈良の大仏さん」の話を耳にしたからかもしれないけど、本堂の形が少し奈良の東大寺に似てる気がするが、これは気の性かな。
関地蔵院
亀山市関町新所1173-2
0595-96-0018