うさみ亭マツバヤ(大阪、本町)
日本各地に名店と呼ばれる歴史ある店が点在しています。有名で行列が出来ている所もあるが、ひっそりと地道に佇むように営業を続けている店もある。
行列が出来ている店ばかりが魅力とは限らない。
前回のブログで「おじやうどん」を紹介したうさみ亭マツバヤは知る人ぞ知る名店。”この店を知っている”と聞けば、「食通だな」と感じる深みがある。
ちなみに、ここは私たち日本人にとって馴染み深い日本食の代名詞「きつねうどん」発祥の店としても知られています。
しかし、店の前には「元祖 きつねうどん」とは書かれているけど、
店内の何処を見ても「きつねうどん発祥」と書かれていない。
メニュー表を見ても簡素。
もっと「きつねうどん発祥店」「当店がきつねうどんを~」みたいな言葉があっても良いのに、そんな雰囲気は全くない。もっと商売っ気を出しても良さそうに感じるが、そうしないのが、この店の良さなのかもしれません。
店内には紹介された新聞記事などの切り抜きが貼られているので、何も知らずに入ったお客さんの中には、それを読んで始めて「あっそうなんだ!」と気が付く人もあるかも。
店内には、先代の大将が書いた著書があり、お店の方に読ませてとお願いすると出してくれるけど、この本も目立つ所に置いているわけでなく、レジの奥の棚に入っていました。
少し読ませてもらうと、「きつねうどん」が誕生した背景から、大阪の食文化に関してなど奥深い内容で、グルメ好きにはかなり参考になる内容。この「きつねうどん口伝」はAmazonでも販売されているので、気になる方はチェックして見て下さいね。
さて、その元祖きつねうどんを注文してみました!580円。この店に入った瞬間から感じますがダシの良い香りがプンプン。目の前に来ると、心が躍るのが分かる。シンプルだけど、決してシンプルなんて一言では言い尽くせない。
ダシの文化で知られる大阪は、古来より水陸両方から様々な食材が集まる「天下の台所」と呼ばれた場所。小麦、塩、昆布をはじめ、新鮮でいい具材が集まり、全国から選び抜かれた材料をもとに作られたのが大阪のうどんの特徴と言えるでしょう。
口に入れた時の上品さ、深いコクとなめらかな舌触り、そして口に残るしつこさがありながら全体にあっさりとした余韻が楽しめる風味。あぁ~ダシが香る!
そこにおあげさんの甘さが加わると絶妙な旨みが際立って、うまっ!!
この洗練されただしに甘く煮込んだおあげさんを入れた「きつねうどん」の始まりは明治26年まで遡るそうです。
素うどんに添えておあげさんと魚のすり身の天ぷらを出した所、お客さんが、うどんの中におあげさんを入れて食べるようになったのが「きつねうどん」誕生のキッカケだとか。
麺は少し柔らかめ。この口当たりもまた魅力。
大阪名物と言えば「コナモン」で知られていますが、大阪のダシ文化を忘れてはいけない。そう!大阪は”うどん”が旨いのだ。その中でも「うさみ亭マツバヤ」は特別な存在。
知る人ぞ知るなんてレベルではなく、日本を代表する名店の一つ。ただ、派手に宣伝しないので街並みに埋もれてしまっているが、まさに本物ココにあり!と唸る名店です。
※この店は「ぐるなび (みんなのごは)」の記事でも紹介しています。
うさみ亭マツバヤ
住所:大阪市中央区南船場3-8-1
電話:06-6251-3339
営業:11:00~19:00(金土は19:30まで)
定休:日祝